『看板は語る』(仮題)出版に向けて

南部白雲さんとヤジキタ道中・・・

『看板は語る』(仮題)出版に向けて 旅をしてはじめて訪れる街をぶらぶら歩いているときに、何がいちばん目につくかというと、それは看板ではないだろうか。とくに看板を意識して歩いているわけではないけれど、お店(建物)の顔としての「看板の情報」を何気なく読んでいる。そんなとき、ふと足を止めたくなるのは、おもしろい看板のかかったお店である。まず看板そのものを眺め、次にその店の構えを見て、自分の興味のあるものを扱っていそうに思えば入りたくなる。初めての街で、看板を見ないでいきなり店に入る人はまずいないだろう。

 看板というのはそれほど大きな役割をもっているわけだが、近年はどこの地方に行っても大通りや商店街は同じような看板が大きな顔をしてのさばっている。資本主義社会の激しい市場競争により、大企業や大型チェーン店が全国展開しているせいもあるが、街の景観を二の次にしてきた都市づくりにも問題があるだろう。車の往来が激しい国道・県道、産業道路などはそれもやむをえないのかもしれないが、観光地の古い街並みまでが目立てばいいといった感じのどぎつい看板が林立しているのは感心しない。

 なぜ、ヨーロッパの街並みが落ち着いて美しいのか。そのひとつの理由は、あきらかに看板にある。ばかでかい看板は町の条例で規制されているのだろう、どの看板もそばに近づいていかないと何の店かわからない。そのかわり、そばで見れば、看板の文字は読めなくてもデザインでだいたいわかる。個性のある看板にそれぞれの「物語性」があるからだ。かつての木の看板「江戸看板」もそうだった。

 幸い、日本でも最近は古い街並みを保存する動きも出てきている。観光客もかつてのように団体でぞろぞろ見物する観光よりも、各人の興味とペースでじっくり味わい楽しむ旅を好むようになっている。そういう旅人の目にとまるのは、その店の顔にふさわしい看板が物語る「ストーリー」ではないだろうか。

『看板は語る』(仮題)出版に向けて というわけで、これから約2年間にわたり、木彫刻師・南部白雲さんと二人で、全国各地に残っているだろう「看板」を見る旅をしていこうと思う。かれこれ十年前、『木彫刻と建築』という本を出版したときも、その取材のために全国の有名寺社をめぐり、南部白雲さんとヤジキタ道中を楽しんだ。今回もまた、ゆかいな道中を楽しみたい。

 2011年5月25日
(有)あうん社  平野 隆彰

 


 

全国の「看板」を募集中!

全国の「看板」を取材しますので、ご紹介ください。

全国の「看板」を募集中!これから取材するさまざまな看板を、南部白雲工房のホームページ上にその都度紹介していきます。そして約2年後には『看板は語る』(仮題)という本にして出版します。

 おもしろい、ユニークな、物語性のある看板をご存じの方は、自薦・他薦にかかわらず、ぜひご連絡ください。

 まず、その看板を写真に撮ってメールでお送りください。取材させていただくかどうかは編集部と南部白雲さんとで検討しいたします。取材してホームページ、または本に掲載させていただいた場合、本を出版後に1冊献呈させていただきます。

(有)あうん社 編集部

 

『看板は語る』(仮題) 

平野隆彰著  南部白雲監修
B5判(または単行本サイズ) 200P~230P
一部カラー印刷
出版予定 2015年秋

※こんな方にお勧めします
店舗設計や施工をする方、街づくりプランナー、店舗の経営者、自治体の関係者(街並み保存など)、 看板制作・施工会社