ネット化で「編集者」の黄金時代がやってくる

編集者とは、いわば、「横串係」です(これは、電通クリエーティブプロジェクトディレクターの倉成英俊さんによる表現)。

異なるジャンルや人を縦横無尽につなげることで、新しい価値を生み出す人たちです。職人的に“縦に掘る“のではなく、”横に掘る“のを得意とする人たちです。
日本には、真面目でかつ卓越したスキルをもつ“職人”がいっぱいいます。ですが、その人たちを”つなぐ人“がほとんどいません。正確に言えば、もし編集的な人材がいたとしても、“コンプライアンス強化”や“縦割り構造”によって、窒息状態に陥っています。
多くの日本企業は「イノベーション、イノベーション」と念仏のように唱えながら、そのカギを握る“編集的な人材”を蔑ろにしてきたのです。

「編集者」のニーズがこれから激増する理由

デジタル化で編集者が100倍自由に
しかし、潮目は変わりつつあります。その典型例がメディア業界です。私の知るかぎり、優秀な編集者は引く手あまたの状態。これまで裏方だった「編集者」という存在にスポットライトが当たり始めています。
では、なぜ編集者のニーズが高まっているのでしょうか。
その理由は単純です。デジタル化により、「情報」と「書き手」と「表現手段」の選択肢が一気に増えたからです。その結果、「情報×書き手×表現手段」の組み合わせが、100倍、1000倍に増えています。
たとえば、あなたが新興ウェブメディアの編集者だとします。すると、筆者の候補は、社内の記者だけでなく、社外にいる専門家、ビジネスパーソン、ブロガーなど、人脈に応じて無限大に広がっていきます。
さらに、ウェブでは、取材したコンテンツを特性に応じて、文字のみならず、 音声、映像でも表現することができます。既存メディアの世界では、新聞、雑誌、ラジオ、テレビの世界は、各々交流が薄かったのですが、デジタル化でそうした垣根がなくなりつつあります。メディアをまたいで、発信するチャンスが広がっているのです。
そのうえ、ウェブの世界では、「コンテンツ」というカテゴリーに拘る必要さえもなくなります。「コンテンツ×テクノロジー」「コンテンツ×広告」「コンテンツ ×イベント」というふうに、大枠を超えた組み合わせも試すことができます。
私の実感で言うと、ウェブメディアにおける編集者の自由度は、既存メディアの100倍あると言ってもいい。選択肢がありすぎて困るぐらいです。これこそ「編集者の黄金時代」がやってくる最大の理由です。

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clipped by 神宮司信也< http://chieclip.com/userinfo.php?uid=5