大阪のお勉強
大阪ってやっぱり面白い
大阪ってほんま奥深い。
大ネタ小ネタ、大阪の歴史と文化のお話が
ギュッと詰まっています。
西日本出版社
定価 本体1300円+税
<もくじ>
まえがき 大阪の歩き方が、変わってきます。
タコと虎と城の話
1 大阪では、「タコ=ハレの食」
2 タコは、クモ?
3 たこ焼と明石焼は「兄弟」?
4 大阪の第三の焼きもの「イカ焼」
5 大坂の「いか」は、江戸の「たこ」
6 「くだらん」の語源をたどれば
【ちょっとひとやすみ】タコでええ?、お笑いを一席
7 雨の日に、姿を現す大ダコ
8 大阪の街を見おろす虎
9 大阪城は、秀吉城? 徳川城?
10 信長が着目した地に秀吉が築城
【ちょっとひとやすみ】 秀吉の派手好きと華麗な桃山文化!
11 大阪城と「どんならん」話
12 薬の街に「張り子の虎」
13 薬の街・三五〇年の歴史
14 橋の欄干、神社に「獅子」
【ちょっとひとやすみ】 難波? 名庭? 浪速?
お椀の舟とすし食いねぇ…舟七話
15 一寸法師が漕ぎだしたのは大坂湾
【ちょっとひとやすみ】 一寸法師も桃太郎も同じモデル!?
16 遠州森の石松の名台詞は淀川の舟上
17 野崎詣りは屋形船ではなかった!?
【ちょっとひとやすみ】 野崎観音に、お染・久松の墓
18 佃煮と家康と舟の関係
【ちょっとひとやすみ】 家康は、大坂で没し、堺に墓!?
19 昆布と舟と堺の刃物
【ちょっとひとやすみ】 堺が刃物の街になるのは
20 舟いけすと屋形船、ジャズと道頓堀
21 大阪人は「身を尽くす」?
【ちょっとひとやすみ】 大阪人は、「土瓶の口」が多い!?
「名」を味わう 地名を食べる話
22 大阪のうなぎは「まむし」味?
23 大阪の「うずら」はうなぎ味?
24 魚+日+四+又=「鰻」
25 大阪の「ヘビ」は、文化の味
【ちょっとひとやすみ】 江戸時代のデートスポット、夕陽丘
26 難波は旨い……108
【ちょっとひとやすみ】 大阪は、ネギのふるさと!?
27 信太は旨い
28 きつねとタコは、大阪の「文化関係者」
29 きつねとたぬき、化かし上手は?
30 「豚まん」の名にこだわる
31 大阪の「ボート」は、旨い!?
32 「鉄砲の刺身」は、どんな味?
33 スッポンは、形も味も「○」!
34 大阪の鯨は、「針・針」?
痛快・妖怪・結界話
35 「真田の抜け穴」は、徳川製?
36 猿だ、飛んだ、猿飛佐助だ!!
37 石川五右衛門は、河内人!?
38 岩見重太郎は、大坂でおろち退治
39 天下分け目の「天王山」は?
40 陰陽師・安倍晴明は阿倍野生まれ?
41 「妖怪」が大阪港を守る!
42 大阪ミナミに、カッパのミイラ!?
【ちょっとひとやすみ】 大阪のきゅうり巻、東京のカッパ!
キタとミナミと大阪話
43 蕪村・大阪、「菜の花や」
44 明治期、キタとミナミに高層ビル
45 曽根崎、網島、門左衛門
46 お初、徳兵衛は結婚していた!?
【ちょっとひとやすみ】 歴史を刻むキタの太融寺さん
47 「雉も鳴かずば」の伝説をもつ地
48「心ブラ派」? 「天ブラ派」?
49 萬歳第一号は、瓢箪山の玉子屋
50 徳川家もあっぱれ、川に道頓の名
51 大坂は「着倒れ」であった!?
52 道頓堀と看板とのれんの話
53 大阪の顔、千日前
【ちょっとひとやすみ】 大阪は「混」の発想、「いっしょくた文化」
54 阿倍野? それとも阿部野?
55 四天王寺は玉造に? 今宮戎は四天王寺前に?
【ちょっとひとやすみ】 西成区に「てんのじ村」
56 大阪はなぜ「大阪」なのか
57 環状線と山手線、どちらが長い?
【ちょっとひとやすみ】 大阪弁の「なやむ」は「悩まない」!?
だしと酒と市場の話
58 東西のだし色は材料の違い
59 大阪は、だしが旨い!
60 昆布+かつおの「だし算」効果!
61 「食い倒れ」は、「始末の精神」?
62 東京「赤門」、大阪「黒門」
63 大阪は、「酒都」!?
あとがきに、替えて 「チョン、チョンがチョン」でしめさせていただきます。
大阪マップ
大阪の年表
参考文献
大阪は、「たこ焼、タイガース、ヨシモト」の三語でもって語れてしまうかのようなイメージがもたれています。歴史や文化は、お隣の京都や奈良に任せておけば良いとの考えもないとはいえません。
そうでしょうか。
大阪は、「都」に関しては京都よりも先輩です。聖武天皇が難波宮を都にしたのは、744年(天平16)。平安京(京都)への遷都は、その半世紀後です。四世紀後半以降、難波津は日本の窓口として国際的な役割を果たしてもきました。『日本書紀』で、瀬戸内海を東進してきた神武天皇が降り立ったのは大坂の河内です。
現在の東大阪市。この地にはいまも日下の地名がありますが、これは「ひのもと」とも読めます。歴史の香りがするではないですか。
そこで、大阪の歴史と文化について、少し知識散歩を楽しんでみようと考えました。
とは申せ、ここは大阪です。裃をした話では肩が凝ります。ですから、「おもしろい(インタレスト)」の切り口で捉えてみました。気軽に頁を繰ることができ、その中に「ああ、そうなのか」「へえ、そうなのだ」という発見がある。たとえば、一寸法師ですが、彼は「大坂人」です。石川五右衛門や陰陽師の安倍晴明も、そう。おなじみの食べ物、佃煮の佃の名は、大阪市内の佃の地からきているのはご存じでしたか。「ミナミの難波や泉州の信太はおいしいゾ」と言われて、即座に「そうだ」と言っていただけるでしょうか。「鉄砲」と「ボート」は、どちらが旨い? 大阪にいる妖怪は!?
さらに、大阪城は、「豊臣製? それとも徳川製?」。これらも、ご一緒に考えてみようではありませんか。大坂の「いか」が江戸に下って「たこ」になった話も盛り込んでいます。
大阪は、歴史や文化の街なのだとの新認識をしていただけることでしょう。これらを知っていると、大阪の歩き方も変わってきます。本書では、主に大阪市内をとりあげて、話を進めています。ものの発祥や名称のいわれは、諸説が入り乱れるのが常です。そこから推理が生まれ、それが話題となり、知識になってもいきます。明治以前を「大坂」、以後を「大阪」表記にさせていただきました。
それでは、「大阪のお勉強」を、お楽しみください。
前垣和義
前垣和義の大阪ええんちゃう→http://www.h3.dion.ne.jp/~mydo/