田舎は最高 ~丹波で暮らそう 納得ガイド~

■著者
平野隆彰+荻野祐一 共著
■出版社
■定価
特別価格 700円(税込)

団塊世代が田舎暮らしを始めようとする時に
ぶつかる問題のすべてを網羅した完全マニュアル。

私自身を含めて還暦を機に田舎暮らしを始めた、あるいは始めたいと思っている団塊世代の人々は、たぶん何百万人もいるだろう。

本書には、その夢を実現す るためにどんな心構えを持つべきか、実際に新しい暮らしを始めるとどんな問題にぶつかり、それをどう乗り越えて行くべきかが、筆者の体験に基づいて生き 生きと楽しく描かれている。この本を読むことから人生の二毛作目が始まる。

インサイダー編集長 高野孟


丹波新聞社発行  定価 1,300円(税込)

<目次>

プロローグ

第1章 田舎暮らしへの助走期間

第2章 たんばの歴史・気候・文化

第3章 田舎は最高

第4章 ふるとき回帰を牽引する風小僧世代

第5章 田舎で起業する

第6章 子や孫のためにも

第7章 丹波・暮らしのインフォメーション

まとめの章 田舎暮らしの自己診断

あとがきに代えて

著者のコメント プロローグ

 長年思い続けていた「田舎暮らし」の移住地を探し求めて、現在住んでいる丹波市春日町の山里の土地を見に来たとき、瞬時にヒラめくものがあった。三月初旬。村落の道端には、紅梅・白梅が満開だった。まだ冷たいが、爽やかな風が吹き抜けていた。「気」の流れがよい山里だなと感じた。

 なだらかな坂の農道に面したその土地は、南に面して60メートル、奥行きが18メートルのほぼ長方形。約一反の田圃だったが、農業振興地区の指定が解除され宅地として売りに出ていた。四件ある土地のうち残った一件だった。

「ここ、どう。決めようか」と妻に問うと、
「そうね。明るいし、わたしはここでいいけど」と、意外にもあっさりとした返事。何ごとにつけて慎重な妻にしては珍しいことだが、ふたりの直感は一致したわけだ。その日のうちに不動産業者と仮契約をむすぶことになった。
「のこのって可愛い地名ね」と妻が言うので、サラダ記念日ではないが、「のこの移住プロジェクト記念日」と名付けた。

土地を購入してから、妻の間取り設計が始まる。週末はのこのに通い、物置き小屋をふたりで造り、家の棟上げから完成までの間は小屋で寝泊まりもした。半年後、家が竣工した2004年9月30日、西宮から引っ越した。

 移り住んで一年ほど過ぎた頃だった。農道をぶらぶら歩きながら夕日が沈む山並を眺めつつ、ふと思った。
「ここにはもう十年、二十年も住んでいるような気がするなぁ……」と。
 それほど居心地のよいこのたんば地域に溶け込んでいる自分自身を発見したわけである。五十数年生きてきて、いろいろな土地に引っ越しているが、こんな不思議な感覚は初めてのことだった。年のせいかもしれないとも思った。いや、どうやらそうではないらしい。私の妻も同様の思いを抱いていたし、丹波新聞の連載『田舎は最高』の取材においても私は異口同音の感想を聞かされた。

 自然環境にしろ地域の人々にしろ、異口同音の感想を抱かせるだけの魅力が、この丹波地域(篠山市・丹波市)にはあるからだろう。事実、京阪神地域に住む人たちの間では、たんばは田舎暮らしの筆頭候補地にあげられているし、団塊世代のリターンが始まる2007年以降、ますますIターン者が増えていくのではないかと予測される。

 本書では、田舎暮らし三年生となった私自身の体験や感想だけでなく、丹波新聞に連載したIターン家族の声を通じて、たんばの魅力の一端を伝えられたらと思う。

 田舎暮らしの地を決めるには、納得した上での決断がいる。その意味でガイド本として、より具体的にたんばの生活をイメージし、かつ納得してもらえるようにと、地元出身で丹波新聞の記者である荻野さんに、たんばの歴史や文化、生活周辺のことを紹介してもらった。

 これから田舎暮らしを考えている人、あるいはすでに物件探しなどの行動に移している人たちに、本書が参考になれば嬉しい。
 
 2007年、梅雨明け前
                           平野 隆彰