シャープを創った男 早川徳次伝

■著者
平野隆彰著
■出版社
■定価
本体1800円+税 

失っても失っても再起した
泣かせるビジネス偉人伝

シャープペンシルから液晶へと飛躍した企業の遺伝子とは

<目次>

プロローグ 事業家誕生
第1章   貧乏長屋
第2章   徒弟時代
第3章   早川式繰出鉛筆
第4章   関東大震災
第5章   関西へ
第6章   ラジオの時代
第7章   国産テレビ第一号
第8章   シャープの遺伝子

 日経BP社 2004年4月26日初版発行
定価 本体1800円+税  

著者のコメント  1993年、早川徳次生誕百年記念として『百秒百話 わらく』が出版された。
私は “良きご縁 ”を得て、この本の編纂をさせていただいた。その「あとがき」で、徳次の著書『私と事業』を読んだ女高生の感想文の一部を紹介した。
 「かれの人生は、本当に数奇をきわめている。しかしその数奇であることが、わたしたち読者をとらえるのではない。全編からにじみでているかれの人間そのものが、心を打つのである」
 小説風ノンフィクション「早川徳次伝」を書きながら、私は時折、本質をついたこの感想を思い出した。
 社訓・家訓を研究する大塚融氏(元NHK記者)はこう言った。
「早川徳次さんは陰ながら徳を積まれた陰徳の人。『五つの蓄積』とか『誠意と創意』といった早川さんの社訓は、生きたプロセスと内面性がにじみ出ている。その観点から見ても魅力を感じますね」
 仕事柄多くの経営者を取材した大塚氏が、徳次に会ったのは最晩年の一回きりだった。それでも一目惚れした、というのである。
 「ぼくは詩を書かないけど詩心のある人間っていうのは好きですね。早川さんは会った瞬間にそういうやわらかさを感じた。一種の詩ですよ」
 徳次の事業家としての遺伝子は、いまのシャープに息づいている。それは確かなことに違いないが、そればかりでなく、本書で伝えたいことは徳次の人間性そのものである。 “一種の詩 ”のような早川徳次の魅力を、的確に表現できたかどうかは心もとないが、少なくとも「陰徳の人」の一端は伝えることができたのではないかと思う。