なぜアメリカには出版不況はないのか?
教育においても「褒めて伸ばす」傾向があるので、アメリカ人は、自分が本を読まないにもかかわらず、みんながみんな「自分にはベストセラーが書けるはず」と思い込んでいる。アメリカの出版社のほとんどが持ち込み原稿を見ないのも、なんたら新人賞を創設して素人原稿を集めたりしないのも、それをやると玉石混交どころか、石ばかりが飛んでくるからなんですね。それを選別するための目利きとしてリテラリー・エージェントがいるわけです。
そういう人が、自分も出版できる!と大勢Eブックを出し始めた。もちろん中には口コミで「おもしろい」という風評が立って、出版社の目に留まり、紙バージョンを出版するまでにいたる本もあります。KDP以外にも色々とセルフ・パブリシング向けのサービスが充実していて、著者の情報交換も盛んです。だけどやっぱり「出版社から紙の本も出してもらう」というのがゴールになっている部分があります。Eブックでいくら儲けてもそれだけじゃ足りないんですね。
今のところ、セルフ・パブリシングの本は1ドル〜数ドルの価格帯が限度で、出版社から出ている新刊のEブックは10数ドルというのが相場。出版社の付加価値が10ドルだと思えばいい感じ。Eブックのおかげで、誰でも本が出せるという裾野は広がったけれど、同時にエージェントを付けて出版社から出すことの意義があらためて見直されたとも言えます。
アメリカで出版社がつくということは、エージェントが搾取されないように印税や版権を管理してくれて、海賊版が出たら対処してくれて、アドバンス(印税の前払い金)という形でまとまったお金をもらえて、出版社が編集からマーケティングを請負い、数年(数作)のコミットをしてくれる、ということでもあります。
続き 本とマンハッタン Books and the City
コメント:「アメリカ人は、自分が本を読まないにもかかわらず、みんながみんな「自分にはベストセラーが書けるはず」と思い込んでいる。」というのは笑えますが、日本でもそういう傾向になりつつあるのでは。したがって、日本の出版界もアメリカ流になっていくのでは?
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clipped by 神宮司信也< http://chieclip.com/userinfo.php?uid=5