出版業界の現状

 この十数年、自費出版の刊行点数が急増し、ピーク時の03年から05年には大手3社だけで5千点に達したといわれています。ちなみに出版社(4千社)の全刊行点数が8万点ですから驚くべき数字です。

 これほど大量の本が毎日書店に流れていくわけですから、本の交通渋滞が起こるのは当然です。書店の販売スペースは限られていますから、すべての刊行物を置くわけにはいきません。そこで本の交通整理がおこなわれます。つまり、売れる本以外は、さっそく整理返品されるのです。分かりやすく言えば、「本屋というのは生鮮食品店と同じ」なのです。

「出版して書店にはいちおう並んだけれど、全く売れなかった」という声をよく聞きますが、それもそのはず、よほど売れ筋の本でないかぎり、1週間もすれば書店の棚からなくなる(あるいは多くの本に紛れてしまう)からです。

 これが出版業界の現状ですが、こういう基本的なことを認識しておかないと、大きな失望を味わうことになります。