これぞ! おおさか道頓堀!

取材 2011.6.2

ものすごいエネルギーの劇空間
大都会の繁華街には慣れていても、この道頓堀にはじめて来た人は、圧倒される何かを感じるのではなかろうか。まして、静かな田舎にすむ白雲さんにとっては。大阪には仕事でよく来ているが、道頓堀ははじめてだという。
「ウァー、スゴイ!」
「なんだこりゃ……」
「おもしろい!これぞ大阪!」
「ここにいるだけで、ものすごいエネルギーを感じるね」
「こういう都会の商店街では、こんな看板もありだよね」
「グリコの看板は、ポーズはずっと同じでも時代によって顔が変わってきているんやね」
「こんな街では落ち着いて彫刻できんなぁ……」
白雲さんは、そんな感想を言いながら笑い、カメラのシャッターを押し続けていた。
たしかにこの道頓堀の一画は、巨大な立体看板の競演によって、エンターテイメントな舞台空間がつくられている。どの看板がいちばん古いのか、調べてみないとわからないが、グリコの看板、くいどうらく、づぼらや、かに道楽などが比較的古いのだろう(後日、これらの看板や街の歴史を調べる)。
これらの看板に負けんとばかり、たこ焼き屋・串カツ屋・ホルモン屋などの看板はどぎつい迫力でせまってくる。この商店街の一画にあったカーネルサンダーおじさんは、熱狂した阪神タイガースファンによって道頓堀川へ投げ込まれてしまい、それが逆に宣伝になったことはよく知られている。この熱狂事件は、白雲さんも感じた「ものすごいエネルギー」のある道頓堀だからこそ起こったパフォーマンスといえるだろう。蛸入道がやらせたのかもしれない。
時刻は午後5時すぎで、まだ空が明るかったのでネオンの明りはついていない。
夜は色とりどりの光があふれ、昼間よりさらにアドレナリンを刺激する劇空間に変貌する。いまや外国の旅行者にとっても大阪の観光スポットである。